あまりにも時間ができてしまったのでスイーツ(笑)で一躍話題をさらった携帯小説について考えてなんぞみた。
元々スイーツ(笑)が何なのか知らないなんて人もいないだろうけど面白いからもう一度確認しようと思う。
とりあえず携帯小説について
「はっきり言って『小説』なんて言葉で呼ぶのもおこがましいほどヒドいものばかりですよ。援助交際、ホスト、主人公の死、とかどれもこれも同じような内容で馬鹿馬鹿しくて読む気にもなれません。だからランキングの高い順に書籍化しているだけですよ」。
携帯小説サイト管理人 「どれも同じ内容でヒドい」
なんぞという評価というか共通認識的なものがあったりするのが前提です。
前提です。
で、その前提の元で以下のようなネタがあったわけで
やったー携帯小説できたよー(^o^)ノ
───アタシの名前はアイ。心に傷を負った女子高生。モテカワスリムで恋愛体質の愛されガール♪
アタシがつるんでる友達は援助交際をやってるミキ、学校にナイショで
キャバクラで働いてるユウカ。訳あって不良グループの一員になってるアキナ。
友達がいてもやっぱり学校はタイクツ。今日もミキとちょっとしたことで口喧嘩になった。
女のコ同士だとこんなこともあるからストレスが溜まるよね☆そんな時アタシは一人で繁華街を歩くことにしている。
がんばった自分へのご褒美ってやつ?自分らしさの演出とも言うかな!
「あームカツク」・・。そんなことをつぶやきながらしつこいキャッチを軽くあしらう。
「カノジョー、ちょっと話聞いてくれない?」どいつもこいつも同じようなセリフしか言わない。
キャッチの男はカッコイイけどなんか薄っぺらくてキライだ。もっと等身大のアタシを見て欲しい。
「すいません・・。」・・・またか、とセレブなアタシは思った。シカトするつもりだったけど、
チラっとキャッチの男の顔を見た。
「・・!!」
・・・チガウ・・・今までの男とはなにかが決定的に違う。スピリチュアルな感覚がアタシのカラダを
駆け巡った・・。「・・(カッコイイ・・!!・・これって運命・・?)」
男はホストだった。連れていかれてレイプされた。「キャーやめて!」ドラッグをきめた。
「ガッシ!ボカッ!」アタシは死んだ。スイーツ(笑)
やったー携帯小説できたよー(^o^)ノ
スイーツ(笑) の火付け役になったわけです。
まあスイーツ(笑)という言葉自体そもそも
「ただのお菓子におしゃれぶってスイーツ(笑)とかwwwwwwwww」
「和スイーツ(笑)ってなんだよwwwwwwwwwっうぇwwwwww」
という使われ方をされていたので、まあそもそも流行っているわけですが
スイーツ(笑)の方向性にあまりにも大きな影響を与えたわけで、これはもう
今年の流行語大賞にふさわしいのではないかと。
いや、恋空の作者がスイーツ(笑)で受賞して壇上に上がるとかひどすぎて吹くけど
ええと、まあそんなわけで恋空とスイーツ(笑)に直接な関係はないです。
スイーツ(笑)は基本的に未だに人称代名詞です。あと恋空にスイーツ(笑)は出てきません。当然。
でまあそれはいいんだけれど、長々とスイーツ(笑)の話をして今日の本題
それはスイーツ(笑)のことをこき下ろす話じゃなくてむしろその逆
スイーツ(笑)を笑ってしまう現象について考える。の巻
そもそもスイーツ(笑)がなぜこれほど嘲笑の対象になるかというと、それは例えば
・女子高生やらなにやらを中心としたムーブメントであるらしいこと
・本格だとか共感できるとか、小説として素晴らしいと言われてるらしいこと
などに理由がありそうなところです。
女子高生とかとりあえず指さして笑いたくなりますよね。
コギャル(笑)とかガングロ(笑)とかギャル文字(笑)とか
でもそれだけじゃ流石に駄目だ。
やはりポイントは、素晴らしい小説です!って言われて渡された小説の内容が、
スイーツ(笑)
だったら誰だって吹くだろう、俺ならそうだ。というところ
その素晴らしいと言い出したのが身近な知人とかではなくって、
ネットで話題! だったり X万部突破! だったりするので、
その作品自体の出来に見合わないだけの評価と結果がついて回っていることになって、人は色々思うわけです。
あんな糞小説持ち上げてる奴の気が知れないね!と
それがスイーツ(笑)を笑わずにいられないことの正体的なところだと見るわけです。
事態はこれにとどまらない。
いつまでもうかうか笑ってもいられず、今度は別の派閥が出てきたりするわけだ。それは
そんなこと言ってもお前等の好きなオタ向けコンテンツだって似たようなもんだろ
的な論調。ラノベとかね。
で、先に断っておきますがこれは永遠にすれ違いの論議になります。論点に間違いがあります。
要するにスタート地点が違うということ。
スイーツ(笑) 否定派と擁護派とか言うとまたそうじゃないとかややこしいことになりそうだけれど、
ここでは面倒なんでそういう意味合いで否定派擁護派を定義します。
否定派の主張は評価に対して糞だということ、
それに対し擁護派は、
否定派がスイーツ(笑)を否定する割に否定派がいいと言っているものが大したことないと言っています。
否定派は、評価のレベルとスイーツ(笑)の内容を比べていて、
擁護派は、否定派のいいとするものとスイーツ(笑)の内容を比べている。
もう少し見ると、
否定派は、同レベルの評価を受ける名作とスイーツ(笑)の内容を比べていて、
擁護派は、否定派のいいとするものとスイーツ(笑)の内容を比べている。
否定派の人たちは、例えば
「これが受けるなら俺の好きな狐と香辛料だって今頃映画化決定だよ」
とは言いますが、別に本当にラノベがX万部とかドラマ化とかリアルとか感動するとか考えてない。
同じ俎上で議論することが間違っているというわけです。
仮に
ミリオンヒットの名作>>>>>>>>スイーツ(笑)≒オタ向けコンテンツ
くらいの評価が本来正当なものだとして
否定派と擁護派がそれぞれ何と比べて話をしているのか考えたらずいぶんおかしな話でしょう。
上から見ていってへたくそと言っているのと、下から見ていってまともと考えているのとでは基準が違う。
私だって はじめてのおるすばん とか おやつのじかん とか すぱっちゅ! とか(etc
大好きだけれども、それと同じ基準でスイーツ(笑)を見たら
物語の整合性とか日本語的に流石にスイーツ(笑)に軍配が上がると思う。
がまぁそもそも違う物差しで楽しんでいるものなわけで、物の重量をメジャーで測る位意味がない。
ということだ。
さて、その意味のない議論をなぜすることになるかといえば、
それは恐らく訳知り顔で人が楽しんでいるものをぽんぽん攻撃するのが気に入らない
というよりも、単に偉そうなのが気に入らないとか、
偉そうにしていると条件反射的に反論したりしたくなるんだと思います。私はそうだ。
このエントリの本題はそういうことでもない。つまりこれも長い長い前置きの一部だ。
いや、このエントリの本体でもある。それに興味を持ったこともまた事実だ。でも本題ではない。
実際私がこのスイーツ(笑)の何に惹かれてこんなエントリを書いているかというと、
それはここまでの話にはあがってないことで、私の興味は
・
実際の携帯小説のレベルは(ラノベや一般小説と比べて)どれくらいなのか
・何故そんなにも(商売になるほど)たくさんの人が食いついているのか
・どの辺りがリアルで感動すると言わしめるのか
といったあたりのことなわけです。
ずいぶん長い前置きでしたが、まあ話としたら前置きの方が面白いかなと思ったわけで
要するに思いつきを書きつづっているに過ぎないということです。
全ては思いつきであり根拠のない戯れ言である。
とか書くと急に厨二病文学臭くなる。戯言シリーズは誰だっけ、維新だっけ。読んだことねぇ。
さてそのようなわけで、ようこそ厨二病の世界へ。
まず携帯小説のレベルですが、それはもう既に言われているように小説とは(ry
なわけです。じゃあどこならいいのかというと、
最低SSというのをご存じでしょうか。
まあこれに関してはググるのが早いのだけれど・・・
ある時期、まだ東鳩やカノンAir華やかなりし頃、ファンアート的なSSが粗製濫造されました。
それはもう老いも若いも男も女もといったところで、というのは言い過ぎですが、
それこそ星の数ほどのSSが作られ、中にはなかなか面白い話もあり、とんでもない話もあり、
そしてその中に一際まぶしく輝くきら星のような駄作がありました。
何の変哲もない主人公だった相沢祐一君は、彼らの手によって
・七対の翼を持つ堕天使であり、創世の力を持つ究極存在の萌芽
・闇と光の二つの力を操る唯一の存在
・その剣技は大陸を割り、星さえ破壊することも可能
・出てきたら相手は死ぬ
・本当はSSSクラスだけど面倒だから普段はBクラス
などと言った超存在に変えられてしまったわけです。菊池作品じゃねぇぞこれ
まあ他にも Kanon×~ という形のクロスオーバー作品が数多く作られて、
アクシズを打ち落とす祐一君やエヴァを破壊する祐一君等々多数。
一体何が彼をここまで過酷な運命に誘うのでしょう。
ひょっとすると彼もまた魍魎戦記を戦う転生戦士の一人なのかもしれません。
なんて言うとまたクロスオーバーされてしまうこんな世の中じゃポイズン
なんてメランコリーな話は置いておいて、
まあとにかくそういう最低SSに象徴されるような
どう考えても原作レイプ で
あまりに出来がお粗末で乾いた笑いとか出る
なコミュニティが確かに存在するわけです。
まぁ出来のいいのもあるんだけどね。
そうした作品が延々50話とか続いているんだから世の中侮れません。
もっと侮れないのは1話と50話でほぼ変わりなく見える完成されすぎた作者の腕前なんだけど、
それも置いておいて、
そうした作品もそれなりに評価してくれる人たちも居るようで、
なんだか作者と作者以外の心を掴んで放さないようです。
それこそ自分も新たなSSを書きたくなってしまうほどに。
U-1は昔の話ですが、今でもNANAYAやSHIROUが戦ってます。量産されてます。粗製濫造です。
ああ、心が痛い。
・・・・・・え? 心当たりなんてありませんよ?
閑話 休題
さてまぁ携帯小説の話でした。
文章的にまあいいものもあるのでしょうが・・・
私が読んだ限りランキング上位作らしいものを読みはしたのですが
真っ先に頭をよぎったのがその最低SS。後はラノベのひどいやつとか。
だからもうつまりそういうことなのだろう。やはり先達の言葉に間違いはない。こんなの小説じゃ(ry
でまあそうすると実は結構簡単に理解できる。
最低SSだの、最低でなくてもSSだの、あるいは同人誌だの
そうしたものにはコミュニティがあって、コミュニティを形成してファンを獲得できるのです。
そしてその内部で傷の舐め合い・・・・・・じゃねえや、価値観の共有的なものを行うことができる。
例えば文学にも文壇というものがあり、学術にも学会があるようにそれはある種健全なものでもあるのだけれど、
度を超すと視野狭窄。
その度がどこかはわからないけれど、そうしたものに深く突っ込むともうさっぱりものが見えなくなるものです。
例えば、エロゲのやりすぎでロリとかアナルとかくらい常識言い出したり
ラノベの読み過ぎでこってこてのラブコメ展開を自然に受け入れていたり
キミキスはリアル、ハルヒは名作、クラナドマジ泣いた
まあ、そんなもんです。
その理屈でもって、まあ最低SSも読み続ければそれが自然であるように思えてきたりするっぽいので、
こうした感性の共有の上でのスイーツ(笑)の評価が 感動した、とか 泣ける、とかなのだとしたらそれは自然です。
例えばグレンラガンを見て
(前略)天上天下一機当神(後略)グレンラガン
とか格好いいとか感動とか言い出す前にもう少しツッコミどころもあったりします。
冷めた目で見ればゲッターの焼き直しとかも言うのも自由なわけで、
これは熱血アニメの形をなぞった熱血アニメ(笑)だね、なんて斜めに構えることもできる。
がまぁ、楽しんでいる側にとっては なーに言ってんだ、お前等の時代はもう・・
と言いたくなることで、もうこれはその感性が所属しているコミュニティの違いです。
最低SSも楽しんでいる人がいるし、スイーツ(笑)にマジで泣ける感性を鍛えた人も大勢いても不思議ではない。
小泉八雲が好きな人も現代小説なんて糞だねと言う人もいる。
ラノベこそ新たな小説の形態だと思った人が、純文学派の人に指さされてプギャーされるように、
我々も携帯小説をプギャーしているわけです。
そうして考えてみるとこれはなんとも恐ろしい。
つまるところ、携帯小説にプギャーとかゆとり乙とか思ってる私たちは
いつの間にか年を食って、批判側に回っていたのです。
ラノベや、萌えアニメ萌え小説萌え漫画、エロゲ、そうしたものたちを糞だねと切って捨てて
見向きもしてくれなかった人たちと
同じことをしているのです。
これは少し考えた方がいいのかもしれないと、そんなことを考えた。
ただまぁ携帯小説を楽しむのも難しいわけで、
最低SSも腹抱えて笑いはしたけれども、乾いた笑いも出たわけで、
やっぱり携帯小説ブームは集団幻想のごとき集団厨二病症候群なのではないかと
そうあって欲しいとも思う次第であったりした。
せめてもの救いは、昔は糞みたいな恋愛系ばっかりでさっぱり見られない、と思っていたドラマが
近頃とてもウィットに富んでいて面白く感じられることだ。
ただしこれは私たちの感性が属するコミュニティが主流を占めつつあるということでしかない。
それにさ
俺もさ
偉そうに言うほど大したもの書けるわけでもなし
最低SSよりましと思いたい程度の趣味だし
ね